「カエルノウタ」に日本和声をつけてみた

属複極調

森七菜さんの「カエルノウタ」のサビ部分に日本和声をつけてみました。日本和声特有の主調と属調の曖昧さと豊かな響きに注意して聴いてみましょう。

調の揺らぎの分析

メロディの機能和声分析を行うと、五・九小節目の1,A add B(平行短調)と三・七小節目の3,D(平行長調)がコントラストをなしていることが分かります。つまり平行複極調の特徴を持っています。 また後述しますが、全体として主調と属調の中間的な響きを持っています。

「カエルノウタ」のサビ部分に日本和声を付けてみた
カエルノウタ

モード和声付け

機能和声の分析が終わったら、その機能とメロディのモード的な動きを上手く調和させながらモード和声をつけます。 この曲では特に一小節目アウフタクト部分の1,E/1,Aがポイントです。

1,E/1,Aをつけた理由は、メロディが1,Aの音型(E-G-A)であることと、この部分をドミナントのように響かせたいという欲求からです。よって1,Aとそれに対するVである1,Eを同時に鳴らし、IとVの中間的な効果を出しています。モード和音においてIとVが曖昧になる理由については下巻を参照ください。

また、メロディの調性は#一つの調号(Gmaj/Emin)であるにも関わらず、コード構成はCmaj/Aminに似ています。前段落で述べたように、日本和声は主調と属調との境界が曖昧なのが特徴です。筆者はこの性質が属複極調の元になっているのではないかと考えます。

まとめ

日本和声は主調と属調の境界が曖昧になりやすいです。多くの日本人がドリアンモード(属調への揺らぎ)を自然に受け入れることができるのもここに理由があるのかもしれません。

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