第四モード(琉球のモード)とは

第四モードは鮮やかな印象の、長調に近い響きが特徴のモードです。東南アジアでは似た響きの民族音楽が多く見られますが、日本ではほぼ沖縄民謡のみで使われています。

二音のモード・三音のモード・複合モード

下図に第四モードにおける二音のモード、三音のモード、複合モードを示します。中心音は全音符で示してあります。

二音のモード・三音のモード・複合モード

三音のモードを使ってさっそく第四モードの響きを確認してみましょう。

琉球のモード 響きの確認
響きの確認

南国の雰囲気を思い出させるような響きですね。

いろいろな和音

三和音以外に第四モードで使用される和音を見てみましょう。

混合和音

「第二モード(都節のモード)」と組み合わせた和音です。中間的な響きがするので第二モードへ橋渡しに使える和音です。第二モードと第四モードを併用している曲がほぼ存在しないため、実際の楽曲ではほとんど使われていない和音です。上手く使いこなせたら個性になることは間違いないでしょう。

琉球のモード 混合和音
混合和音

複合和音

複合モードを同時に鳴らした和音です。混合和音に比べ、第四モードの響きが強調されます。

琉球のモード 複合和音
複合和音

混合+複合和音

混合和音と複合和音を組み合わせた和音です。豊かな響きが特徴です。

琉球のモード 混合+複合和音
混合+複合和音

R和音

R和音は第四モードではなく琉球音階に由来する和音です。外側の音程が増四度を形成しているため求心力が弱く中心音が曖昧です。

琉球のモード R和音
R和音

R和音の「裏コード」

R和音に含まれる増四度は転回しても性質が変わりません。それを利用して裏コードを作ることができます。

R和音の作成

R和音の裏コードは独特な響きがします。

琉球のモード R和音 裏コード
R和音 裏コード

既存の曲を日本和声でコード付けしてみよう

第四モードがしっくりくるメロディといえば、やはり沖縄民謡でしょう。幸い沖縄民謡にルーツをもったJ-POP楽曲はたくさんあります。その中でここではTHE BOOMの「島唄」をコード付けしてみます。

琉球のモード 「島唄」日本和声によるコード付け
島唄

Aメロのアウフタクト部分はドミナントコードの代わりにR和音を使っています。三小節目一拍目は第三モードの混合和音を使っています。第三モード(律のモード)は沖縄民謡によく使用されるモードです。サビの二小節目一拍目は形だけなら先ほどの第三モードの混合和音と同じですが、原曲の平行複極調感(C→Am)を表現したかったので、第三ではなく第一モードの混合和音と解釈します。同じ和音でもメロディとの合わせ方によって長調風・短調風の響きの違いが出るのは面白いですね。三拍目は第二モードと第三モードの混合和音を付けました。ほんの少し第二モードの都風な響きが混ざっているのが感じられますか?

まとめ

第四モードの響きがなんとなくつかめたでしょうか。Kindle本では各種和音の詳しい使用方法や、複極調との類似点に関する議論を掲載していますので、興味のある方はぜひお読みください(下巻での収録内容ですが、上・中巻での知識が前提になっていますので、上巻からお読みください)。 四度圏と同様に使える便利なツール「環」の紹介もあります。 理論よりも、とにかく指を動かして覚えたいキーボーディストの方には「和風ハノン」がおすすめです。

J-POPの和声学(下)
和風ハノン

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