山本彩さんの「追憶の光」のサビ部分にモード和声をつけてみました。今回のテーマはアルペジオです。結論から言うと、機能和声と同様に和音をそのままアルペジオに展開できます。
調の揺らぎの分析
まずはメロディの機能和声分析を行います。下記動画のメロディだけに注目して聴いてください。ここから分かるのは以下の二点です。
モード和声付け
機能和声の分析が終わったら、その機能とメロディのモード的な動きを上手く調和させながらモード和声をつけます。
アウフタクト部分はVのため、Gを中心音とした第一モード和音をつけました。
二小節目、メロディのE-A-G-Cの動きから、1,Aの混合和音を導き出しました。
二小節目後半、メロディのC-Dの動きから、1,Dをつけました。
三小節目、機能和声ではVのため、1,Aに対するVである、1,Eをつけました。
四・五小節目は前の二小節をVで繰り返していることを考慮して和声付けを行いました。
四小節目後半から五小節目では、平行複極調を取り入れ、平行長調に調を揺らがせています。
六・七小節目では1,Aに対するIV(D,C)とV(E,D)を繰り返して、属複極調の特徴を表現しています。
八・九小節目では第二モードへの揺らぎをつけました。
九小節目後半からは平行長調に切り替わります。
楽譜には示されませんが、 最後の小節では第三モード3,Dの中心音であるDでバスの音型が終結します。これによって調の揺らぎが強調されています。
まとめ
機能和声と同様に、モード和音もそのままアルペジオに展開して使用できることがおわかりいただけたでしょうか。終結音については不思議な感覚があると思います。このような多調感・調の揺らぎの感覚が日本伝統音楽からJ-POPにも引き継がれているのです。