
さて、一般国民がこのシステムを使って法律を作るには、困難な点がひとつあります。例を示しましょう


これは行政責任者の人事評価に国民を参加させろと主張する議員です。この議員の施策1と2、どちらが優れているか、判断できますか?

違っているのは数字だけですよね? より厳しい施策1の方が良いのかな?

今はまだ二つだけですが、これがもっとたくさんになったらどうですか?


もうどうしたらいいか分かりません

このように、具体的な数字が施策に含まれると一般国民には判断が難しくなる。これが困難な点です
コンペティション方式

じゃあ、ダメじゃないですか

いえ、解決方法はすでに確立されています。例えばソフトウェア業界では、設計に関しては素人の顧客が複雑なソフトウェアを開発業者に発注することがよくあります。その際に使われるのが「コンペティション(競争)方式」というものです。これをシステムに組み込むと前回示したこの図のようになります


この「立法提案者」というのが細かい数字を提案してくれるってこと?

はい。こちらからは赤字で示されている「要求仕様」を出し、提案を募集します。そして立法提案者から集まった提案の中から改めてどれがよいか投票するわけです
要求仕様の作り方

さて、システム側からは要求仕様を出せばよいということがはっきりしました。では要求仕様の作り方は分かりますか?

分かりません

要求仕様には「望ましい結果」のみを記述し、「どうやってそれを達成するか」はあえて書きません。「どうやってそれを達成するか」を考えるのは立法提案者の仕事だからです

うーん、分かるような、分からないような……

じゃあ実際にコンペティション(正確にはプロポーザル)をやってみましょう。お昼、何食べたいですか?

カレーがいいです!

おごってくれるなんて、さすが社会人ね

どうせ給料使う時間なんか取れないからね……。忙しくて

それはさておき、洋食屋さんにしますか? それともインドカレーとかタイカレーの方が良いですか?

うーん、カツカレーなら洋食屋さんですね。ナンやデザートならインドカレー。でもたまにはタイカレーもいいな……

ごめん。私、ココナッツミルクダメなの

じゃあインドカレーにしましょう! 辛ーいの!

ココナッツミルクを使わないタイカレーもありますよ。ここまでのやりとりをまとめると、

これが要求仕様です。ではどんなレシピで作られたカレーがいいですか?

なんでもいいです! 美味しければ!

「美味しければ」が「望ましい結果」、「なんでもいい」が要求仕様を作る際の正しい態度です。私たちは美味しいカレーを食べたいだけで、その作り方までは気にしません。作るのは専門家に任せましょう!

じゃあ、お店にレッツゴー!

コンペティションだから、五軒は行くよ! その中から一番美味しいお店を決めてね!

やったー! たくさん食べるぞー!

ええ!? 五軒!?
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